P4P800-VMでPentium M


2005月4月に発売されたPetnium M対応CPUアダプタ(通称『下駄』)CT-479を使って
CPUをPentium Mに変更してみました。

対象のPCは仲田真琴所有の"KM-0505PM865GFX57LE/H400"……通称『MOMO』。(下図)
上杉定正所有PC『KM-0505PM865PEGF442/W27』は こちら

用意した石は725と740。
動作クロックはそれぞれ1.6GHzと1.73GHz。(前者がFSB100x16、後者がFSB133x13)

[SPEC]
CPU Pentium4 2.4C GHz
M/B P4P800-VM (BIOS ver 1016)
Memory PC3200 CL3 1GB x 3
VGA GeForce FX5700LE 128MB
HDD Maxotr DiamondMAX6800 13.6GB
HITACHI 7K250 250GB
Power MicroATX 245W


ケースの上面パネル・左側面パネルを外し、5インチドライブフレームを外します。
CPUファンを外し、Pentium4をソケットから引き抜き、これで準備はOKです。



CPUアダプタ(以後「下駄」)はソケット478にスムーズにはまります。
しかし下駄の基盤がリテンションの片側を完全に塞いでしまいます。
よって、そのままでは付属のファン以外の装着は難しそうです。
(もし被ってなければ、スペーサー等の使用で比較的容易にヒートシンクを装着できる)



CPUの取り付けですが、下駄のソケットはZIFではなくノートPC等で見られるネジ回転式。
先の細いマイナスドライバー等で180度回せばロック・アンロックできます。

形こそPentium4にそっくりな物の、ヒートスプレッダが付いてないので
コアが丸出でAthlonXPやPetnium IIIを彷彿とさせます。

Pentium4やAthlon64等と違いコアが剥き出しなので、ヒートシンクを固定する時無理な力が
かかったり、傾けたまま押し込んだりすると、コアを欠けさせたり圧壊させる可能性が少なからず
あるので、そういう点では注意が必要です。
……まぁ、下駄付属のヒートシンクにスポンジが付いているので、余程無理な力のかけ方を
しなければコアを破壊する事は無さそうです。



ヒートシンクを止めるクリップのあまりの柔らかさにビックリ。
かつてのAthlonXP等はクリップが異様に固く、マイナスドライバーを溝に差し込み
強い力を掛けないと脱着出来ない物が多かったです。
Petnium4にしても昨年及び今年初めに鎌鉾で取り外しの際苦労した経験があったので、
かなり身構えていただけに拍子抜けです。

「……本当にこの程度の圧力で大丈夫なのか?」

いともあっさりクーラーを装着し、いざパワーオン!



ケース背面の排気ファンがオレンジとブルーに輝き、混じった下品な光が闇を照らします。
う〜ん、趣味悪い。(笑)



ピポッ!

何の問題も無くBIOSが起動。
フルスクリーンロゴに「Pentium M」のエンブレムが表示されました。
(POST画面がアレなのは、キニシナイw)

BIOSメニューに入ると100MHzx13で動作しているとの表示が出ます。
しかも『RATECMOS』の項目が『UNLOCKED』になってます。
つまり内部倍率変更可能……2005年5月時点で、このP4P800-VMだけに
備わっているスーパーステータスです。

実際にこの項目を変更してみると、各CPUの最大倍率までしっかり有効になります。
ただ、このM/BはFSBやCPU電圧を変更する事は出来ません。
FSBこそ下駄のジャンパスイッチで400MHz/533MHzと切り換えられる物のFSB800を選択する事は不可能です。

そうなると内部倍率の範囲が高い725、735、745等のFSB400モデルの方が向いてるでしょう。
FSB533MHzにセットして、後は石の耐性に合わせて倍率を調整していけば良いのですから。


蛇足が続きましたが、本題に……
OSを起動し、操作感を確かめます。
正直体感的には、Pentium4 2.4GHzと比べて差を殆ど感じません。
プラシーボ効果か若干キビキビ動くかなという程度。
まぁネットブラウズ位では能力差は出ないでしょう。

ベンチマークで数値の違いを出してみます。
Superπ104万桁での結果はPentium4 2.4GHzが1分8秒でPetniumMは1分1秒。
7秒縮まりました。(メモリをデュアルチャネルにすると58秒まで縮まった)



石を740から725に換え、CrystalCPU IDを使いクロックを上げてみます。
133MHz x 16にするとあっさり2.13GHzで動作しました。
Superπ104万桁は43秒と一気に縮まります。
デュアルチャネルなら40秒を切りそうです。

倍率を可変でき、ソフトを使う事により負荷に応じてクロックを変更する
疑似SpeedStepが動作するので電力的に効率の良いPCが出来ました。
……電圧に関しては1.186Vまで下げる事が出来ます。
それ以下はは設定しても1.186Vまでしか変更が有効になりません。

i865(i875)系での使用は、デュアルチャネルの恩恵を考えるとかなりハイパフォーマンスです。
現状デュアルチャネルに対応するPentium M専用M/Bは殆ど無く、しかも高価……
値段のこなれているi865系のM/BでPentium Mを使用可能とするCT-479は、M/Bと合わせても
専用M/B以下の値段になるのでコストパフォーマンスはかなり高いです。

Pentium4頼みの綱だったHT(ハイパースレッティング……疑似マルチCPU機能)も最近脆弱性が
見つかり、かなりケチが付いてます。
低消費電力・高パフォーマンスなPentium MがIntel系では現状ベターな選択でしょう。

ただ、一つ気になる事が……
前述の通りヒートシンクを固定するクリップがかなり柔らかいので付属ファンの冷却能力に
疑問を感じます。

下駄に電源コネクタとジャンパがある為通常のヒートシンクは装着する事ができません。
上で書いたリテンションの問題が解決出来ても下駄自体を少々改造しなくては汎用の
ヒートシンクの使用が不可能である為現時点ではあまり高いクロックに設定しない方が無難かも
しれません。春の段階でこれじゃ夏(特に猛暑だった場合)は悲惨な事に……。

最初に付属していた熱伝導シートはスペック上セラミックグリス並です。
どうやらここ数年で伝導シートのスペックは想像以上に上がってたみたいです。
昔は「冷えない・返って熱くなる」の代名詞だったのに……



上記の状態だとおおよそ35度前後になります。



光学ドライブ等が接続されている5インチフレームとパッシブダクトの付け根を付けて
全接続完了。(後日メモリ1GBを追加し、128bitデュアルチャネル4GBにアップグレード)
IDEカードを外してS-ATAとU-ATAの変換アダプタを下部のHDDに装着し、配線をすっきりさせました。

さらに上部のHDDの上のベイに付けていた7cmの轟音ブロワファンを静音タイプの7cmファンと交換。
発熱の多い7K400の冷却に努めます。
これで多少エアフローの改善に繋がれば良いのですが……。

ちなみにHDDの温度は下部7K250>上部7K400>リムーバブルケース内の7K400の順でした。